5月19日、沖縄県教育委員会は当法人代表理事の山内昌也を無形文化財保持者に認定しました。
山内が沖縄県より認定されたのは「沖縄伝統音楽湛水流」保持者としてです。
これまでの活動と技量が認められたことはもちろん、これからは伝承者養成の役割も担うこととなります。
無形文化財保持者には、「優れた技法を高度に体現でき、無形文化財の保存・継承ができる者」が認定され、今後もその活躍が期待されています。
沖縄伝統音楽湛水流の追加認定は10年ぶりで、今回が第5次認定となり、これまでに20名が認定されていました。
他にも5名が追加認定を受けており、当分野では延べ26名となります。
沖縄伝統音楽湛水流
湛水親方/幸地賢忠(1623-1683)の演奏とされる音楽で、琉球古典音楽の歴史では最も古く、祖とされている。琉球王国末期、国王によって保存の策が講じられ、現在までに7曲9種が伝承されている。
御礼のことば
この度、沖縄県指定無形文化財「沖縄伝統音楽湛水流」の保持者に認定され、喜びとその責務を強く感じております。
私と湛水流との出会いは、高校1年生の時でした。先に師匠より野村流の指導を受けておりましたが、ある日「こんな曲もあるけど、演奏してみる?」と手渡された工工四が「湛水流 早作田節(はいつぃくてんぶし)」でした。当時は流派など詳しい知識などもなく、純粋に「何?!この曲、面白い。」とのめり込みました。後に、この流派が琉球古典音楽野村流や安冨祖流の祖と言われているということを教授され、湛水流音楽を究めたいと強く誓いました。
琉球古典音楽湛水流保存会主催「普及審査」は、湛水流音楽を広く知ってもらい、湛水流愛好家を増やすことを目的として開催されています。私は高校1年生~3年生の間に新人賞、優秀賞、最高賞と挑戦しました。優秀賞挑戦の年に、特に歌唱に優れた者に贈られる「歌唱特別賞」が設定され、その第1号で受賞出来たときは、非常に嬉しかったです。
湛水流は、他の流派には伝承されていない三線の技法、歌の技法が数多くあります。全体が緩やかな旋律は、琉球王朝時代の気候・風土を想像させます。七曲九種しかない、貴重な音楽は今後も大切に伝えていかなければなりません。
湛水流は、湛水親方(名:幸地賢忠)の音楽が伝承されたといわれています。音楽家としてだけでなく、当時の琉球の政治経済を文化芸術で支えた人物だとも称されています。2023年には生誕400年を迎えます。その「ヒト」としての思想も含め、表現することができればと思います。
改めて、保持者に認定され、湛水流音楽並びに琉球古典音楽そのものを更に追究したいと思う所存です。この場をかりまして、保持者認定におきまして、これまで関わったすべての皆様方に心より御礼申し上げます。
2020年5月19日 山内 昌也